桜桃忌とは


この日に見るために録画した。『プレミアムカフェ「津軽」生誕100年太宰治と故郷』どうも違和感があるなと思ったら、初回放送は2009年だった。小説「津軽」を読み解きながら津軽人としての太宰を追う。そこには懐かしい景色が沢山あった。一両編成の津軽鉄道の旅。人気のない竜飛岬や斜陽館の大広間、雲祥寺の地獄極楽の掛け軸、乳母タケさんの嫁ぎ先である小泊の家。姪の陽さんは穏やかで品のあるお顔をしていた。わたしが上野から深夜急行で13時間かけて青森駅に着いたのは40年近くも昔、霙まじりの寒い朝だった。ヒッチハイクで津軽半島を一周した記憶は少しも薄れていない。タケさんの温かい声は耳に残っている。