ささくれとは


東京の変わらない生活がはじまる。からだを引きずりながら洗濯をして朝ごはんを作り、田舎から送った荷物の整理をしているとすでに夕方。ふいっと意識を持っていかれそうになるのは燃料切れなのか。銭湯に行きたかったが家の湯船に沈んでがまん。近くの居酒屋で友人たちと一週間ぶりに飲んだ。必ずカウンターに座っている男性二人、毎回顔を合わせる母子、すぐ近所の会社社長さんたち、にぎわう店は落ちつく。背中に貼ったカイロと湿布がせめぎ合いをしている。風が凍るように冷たい。